【読書】仁木悦子 『猫は知っていた』

 江戸川乱歩賞第3回の受賞者にして大ベストセラー作家が仁木悦子さんです。彼女は4歳で寝たきりになり、学校にも通わず独学で勉強しました。そして1957年、公募性を採用された第3回目の江戸川乱歩賞で見事受賞。実質初代の江戸川乱歩賞作家といっても過言ではないのです(江戸川乱歩賞の第1回は探偵小説の辞典が受賞、第2回はポケットミステリの出版で早川書房が受賞している)。

 約60年前の作品なのです。しかし60年前の作品とは思えないほど、おもしろく新鮮です。文体も古臭くなく、どちらかというと最近の若手作家が書いた小説とラノベの中間という印象。櫻子さんの足元にはーやビブリア古書なんちゃらを思わせる作品ではないでしょうか。

 

 舞台は個人病院。病院は1階に診察室や手術室があり、2階に入院患者が寝起きする病室があります。その一室で仁木雄太郎と仁木悦子の兄妹が病院で下宿するところから始まります。医者の末娘にピアノを教えることで家賃を半額にしてもらうという契約で仁木兄妹はここに越してくるのでした。医者宅で飼っている子猫のチミを探していると死体を発見してしまいます。と、同時に入院していた患者が行方不明に。犯人は失踪した患者か?そもそもなんの目的で殺人は起きてしまったのか?そして犯行現場に落ちていた缶は?

猫は知っていた―仁木兄妹の事件簿 (ポプラ文庫ピュアフル)

猫は知っていた―仁木兄妹の事件簿 (ポプラ文庫ピュアフル)

 

  2010年にポプラから新しい表紙で出版されており、若い人にも手に取りやすくなったと思います。

 ちなみに本書の存在を知ったのはこの作品を読んでいたから。

k0ma1nu.hatenadiary.com

  この本の中で猫つながりとして仁木悦子氏の名前が出てきますよ。

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