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【読書】坂本功 『木造建築を見直す』

読書 新書

 震災と木造建築のお話かと思いきや、木造建築全般のお話でした。もちろん、日本の木造建築を語る上で地震について考えるのは当然ですから、この本でも地震と木造建築についてもきちんと語られています。

 『木造建築を見直す』という題名から、木造建築は隆盛があったあと、一度廃れてしまった。その上でもう一度、再評価する、という意味が題名の「見直す」には込められているのでしょう。日本の建築はその多くが木造建築ですが、昭和30年以降、鉄筋コンクリート造の建築が増えました。戦中に乱伐した山に、戦後植林をしますが、木がまだ育っておらず、木材が供給できなかったことと、戦後の経済が上向いたことで鉄筋等の建築構造体を大量生産できるようになったが故に木造建築は減少します。木造建築は地震にも、そして台風にも弱く、虫による被害や燃えやすいという性質もあります。

 しかし、1980年代になって、再び木造建築の復活が見えます。いわゆる貿易摩擦の解消策のひとつとして、北アメリカから木材を大量に輸入する必要にせまられたこと。戦後の植林事業で植えた木が伐採して使えるようになってきたこと。木造建築が長らく見向きされなかったために、建築家たちが、「木造建築って逆に新しいのでは?」と思いだしたこと。一般人が「やっぱり、木のぬくもりっていいよね」と再認識したこと。これらによって、木造建築の復活がはじまります。

 たとえば鹿島建設などは大型の木造建設を行っています。

木造ドームの変遷 | 実施例 | 新木造技術 | 鹿島建設株式会社

 かなり大型でデザインもおもしろいです。

 

 そんなときに起こった阪神・淡路大震災です。この震災で倒壊した建物の9割が古い木造建築だったと言います。本書は『木造建築を見直す』という題名ですが、木造建築をのべつ幕なしに褒めそやすわけではなくて、木造建築の弱点も書かれています。そして、一般の家庭でも耐震や耐火、耐風には鉄筋等の建築材を使うことを勧めていらっしゃいます。壁の中の柱は鉄筋でも人の目に見える部分を木で覆うなどすれば、それは木造建築なのでは、ともおっしゃいます。

 本書は家をリフォームしようとか、新しく家を建てようという人とかに向けての本ではありませんが、読んでおいても損はない本だと思います。さらに木造建築の家の部分だけではなく、家を建てるための木材についても言及があり、日本に住む一人の日本人として考えさせられる部分もありました。

木造建築を見直す (岩波新書)

木造建築を見直す (岩波新書)

 

 

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