【読書】小西甚一 『古文研究法』

  古典を現代語訳でなく原典で読みたいと思っていました。中学、高校における古典の授業では成績はまぁ、悪くはなかったのですが、すっかり単語や文法も忘れてしまっていました。フィーリングで読めるだろうとタカをくくっていたのですが、しっかりとは読みこなせません。あぁ、これではだめだ、もう一度、古典をやり直そう。どうせなら、ただ暗記するのではなく、理論的に覚えたい。そうして手にしたのがこの本です。今では絶版になっているらしくアマゾンのマーケットプレイスにて購入しました。お値段は定価よりちょっぴりお高めでしたが、読み進めていくうちに、定価以上出してでも手にいれてよかったと思えます。

古文研究法

古文研究法

 

  この本は一応、学習参考書なので、「読書」のタグをつけて書評を書くものではないのかもしれません。

 本書は大きくわけて3部の構成になっています。第一部が語学的理解、二部が精神的理解、そして三部が歴史的理解。一部の語学的理解では古典の語彙や語法を扱い、精神的理解では当時の宗教観や民俗・風俗を理解する。最後の三部で文学の形態・表現や文学精神史のまとめがあります。

■ゆかし■

語源は「行かし」で、そちらへ行きたいという意味である。つまり、行って、見たい、聞きたい、知りたいという感じで、好奇心を持ったり、ひきつけられたりするときに使う。その「ひきつけられる」という感じのときは、相手に何かすぐれた点があり、しかもそれが表面にあらわれた良さだけでなく、その奥にまだまだこちらをひきつけるようなものがあるわけで、現代語の「ゆかしい」は、そういった感じである。この用法も、中古語にあるけれど、それだけには限らないから注意する。

                                                                                     p.p.85

 実は、「ゆかし」の項はこれだけではなく、上記の引用した部分以外にも『徒然草』から引用した例題がこのあとに続きます。

 助動詞も『む』『けむ』『らむ』の説明で本書の15ページを割いており、ただ助動詞の活用を丸暗記するのが苦痛な人には持ってこいだと思います。

 大学受験を前にこの本に出会っていたら、古典単語を覚えるのも楽だったろうし、助動詞の理解もすすんだのに!と、悔しくてなりません。上記に引用した「ゆかし」以外にも古典単語は300個くらいを丁寧に説明してあるので、読むだけでも言葉の理解に十分寄与すると思います。

 

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