【読書】城福雅伸 『明解仏教入門』

 敬虔なカトリックアイルランド人から「日本人は瞑想するんだよね?」と言われたことがあります。そのとき、どう否定すればいいのか分かりませんでした。英語で宗教の話をするのも一苦労でしたし、日本人の不思議な宗教観を説明するのも難しい、というより、私がさっぱり理解していないので説明しようがなかったのです。質問されてから時間はだいぶ経ってしまいましたが、ようやく本書で仏教について知る一歩を歩みだしました。

明解 仏教入門

明解 仏教入門

 

 そもそも私は仏教信者なのかという問題

 多くの日本人がお宮参りは神社で、お葬式、法事は寺で執り行うことが多いのではないでしょうか。宗教イコール通過儀礼の行事の場くらいにしか思っていないかたもいるかもしれません。家がどこかの宗派の檀家であっても、お経を朝晩唱えるとか、戒を守って日々の生活を送るとかしてる人は少ないのでしょう。私も法事に檀家のお寺さんが来るけれど、あ、うちって○○宗だったんだっけ?と思うくらいの思いいれです。さて本書では、仏教信者を以下のように説明しています。

では、まず何をもって仏教信者とするのでしょうか。それは仏と法と僧の三宝に帰依することです。三宝に帰依した人はすべて仏教信者、つまり、仏教徒になります。帰依とは、敬い信じ、信を捧げ、生きる上の指針、よりどころとすること、依り頼むことをいいます。

p.p 100

 これを読むと自分は仏教徒とは言えないのかもしれません。他にも仏教ってどんな修行をするの?や仏教における瞑想(定といいます)、執著を手放す方法、縁起、空の思想について簡潔にまとめられています。特定の宗派に偏った説明ではなく、あくまで大乗仏教での教えをまとめているもので、宗教にアレルギーがある人でもすんなりと読めると思います。古代からアジアを席巻した哲学の基礎基本として読むと面白いのではないでしょうか。

 

 

 

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