【読書】米澤 穂信 『氷菓』

 アニメは見ていません。『氷菓』という作品はまとめサイトでおすすめ本として、しょっちゅう名前があがるので読んでみました。電子書籍版だと紙版の半額以下で読めます。とても短く小一時間で読める作品です。短すぎて物足りないと感じました。

 

 姉からの手紙で古典部に入ることになった主人公。誰もいないと思っていた古典部には先客がいた、千反田える。彼女は失踪した叔父との過去の記憶をたどるために古典部に入部した。叔父のことを探していく中で、主人公らは叔父と学校の過去の出来事に少しずつ近づいていく。叔父について書かれた文集『氷菓』から次の文章を見つけ出した。

 今年もまた文化祭がやってきた。 

関谷先輩が去ってからもう、一年になる。この一年で、先輩は英雄から伝説になった。文化祭は今年も五日間盛大に行われる。しかし、伝説に沸く校舎の片隅で、私は思うのだ。例えば十年後、誰があの静かな闘士、優しい英雄のことを憶えているだろうか。最後の日、先輩が命名していったこの『氷菓』は残っているのだろうか。 

 争いも犠牲も、先輩のあの微笑みさえも、全ては時の彼方に流されていく。 

 いや、その方がいい。憶えていてはならない。何故ならあれは、英雄譚などでは決してなかっかったのだから。 全ては主観性を失って、歴史的遠近法の彼方で古典になっていく。 

 いつの日か、現在の私たちも、未来の誰かの古典になるのだろう。

        一九六八年 十月十三日 郡山養子

 この作品はラノベに分類されるのでしょうか?とりあえず、タグは「ラノベ」をつけているのですが・・・

 作品は主人公の一人称で進んでいきます。高校1年生という設定なので、いわゆる厨二くささが全開です。彼のキャラ設定ならば良いのですが、彼のキャラだと思わせる表現等が文中にないので、もしかして、これは作者の作風なのかも?と思ったりもしました。村上春樹っぽさをだして壮大に失敗した作品にも見えます。

 この作品はシリーズ化されており、主人公ら古典部の活動もシリーズを読んでいくうえでもっと分かっていくこともあるのでしょう。アニメは脚本家のかたが、脚本を膨らませて書いていらっしゃると思うので話はもっと複雑にしてあるのかな、と思います。

氷菓 (角川文庫)

氷菓 (角川文庫)

 

 

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